強引な彼との社内恋愛事情*2

「千花さんが、俺と付き合ってること、内緒にしたいって思ってるくせに、どうして気づかないんですか。嘘だって。そこで疑うのが、俺の気持ちだなんて心外すぎます」


「疑ったし、信じようとも思ったけど。わかんなくなって……それに、今日、怒ってるし。女の人と帰ってくるし」


「あの人は、お隣さんですよ。そこの信号で一緒になって、帰って来ただけです。それに怒ってたのは、千花さんが、今日、俺をシカトしたからに決まってるじゃないですか。というか、最近、冷たかったのは千花さんでしょ?」


「……」


「俺、勝手に焦ってましたよ」


「え?」


「あっちの部署に、心変わりするほどいい男でもいたのかと」


急に冷たくするから、と。


「けど」と笑った。
< 282 / 295 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop