強引な彼との社内恋愛事情*2
「千花さん」と、先に私を見つけたのは、広重だった。
広重の家の近くの公園の前まで、迎えに来てくれた。
ふっと見る。ここにある桜の木は、まだ芽吹くこともなく、寒そうに風に吹かれていた。
今年もここの滑り台で、広重とお花見ができたらいいな、って思った。
「なに、にやけてるの?」
そう言って、私の顔を覗き込んで怪しむ顔をする。
「あとで、言う」
「今、知りたい」
「ダメ、家に帰ってから」
「はいはーい」と、広重の家のドアを開けた。