強引な彼との社内恋愛事情*2
今日は、本当になんてことのない一日だった。
平日だし、残業だって一時間半した。客先で嫌味だって言われた。そんな日だ。
だけど、スペシャルに変わった。
広重が、私との記念日をまたひとつつくってくれたから。
ううん。一緒につくったんだ。
「あー。良かった。緊張しすぎて吐きそうでしたよ」
「大袈裟だよ」
「だって、千花さんのことだから、仕事が忙しいから今は、とか。職場の人に言いたくないから、とか言われたりとかすると思ってましたもん」
拗ねたように言うから、ううん、と、私は首を振った。
「ねえ。広重?」
「はい?」
「私、出逢ってね。変わったと思う。色んなこと。感じ方とか」
「え?」
「だってさ、私、この幸せが世界中の人に届けばいいなっていうくらい、今、幸せなんだからね」
ひとつの幸せを、君と。
そして、顔の知らない誰かと。
わかち合うことが、出来たらいいのに、と思った。
「それからね」と、私は含み笑いをする。