強引な彼との社内恋愛事情*2
唇が鎖骨までおりると、広重の髪が肌に触れて、くすぐったさが増した。
「広重、待って」
そんな気分じゃないのに。だけど、キスをやめる気配はなかった。
目を閉じて、ギュッとソファの背もたれを掴んだ。
広重は、今、なにを感じとっているんだろう。
触れ合っているのに、心は遠く感じる。
唇はなにを感じとる為に、こうして人に触れるようになったんだろう。
広重が、私を組み敷いたまま、顔を近づけた。
ぼんやりと揺れてぼやけて見える。
「いつも千花さんのことばかり、考えてて悔しい」と、私の唇を塞いだ。
なにかを封じ込めるみたいだった。