強引な彼との社内恋愛事情*2
定時をだいぶ過ぎ話し声も少なくなったフロア。
そろそろ帰ろうかと、顔をあげると、「遠山さん、飯でも行きませんか?」と、目の前に立っていたのは、谷くんだった。
「飯?」
「今日、家帰っても食べるものなくて」と言う。
まあ、確かにもう帰るから、付き合えないこともないけど。
広重とは今日、約束してないし。
だけど、広重は、どう思うんだろう。
でも、広重だって水谷さんと2人でランチに行こうとしてたし。
私がたまたま、通りかかったら、今日は一緒に行けただけであって。
実は、そういうことに無頓着なのかもしれない。職場の人なら、男も女も関係ないとか。
そういう人なのかもしれない。
谷くんとこの前、話をしていたことにヤキモチを妬いてくれたけど、どこか矛盾してるなぁと思った。
だからか、「ご飯だけならいいよ」と、私は言ってた。
「じゃあラーメンどうですか?」と、谷くんは色気のない場所に誘う。谷くんも谷くんで彼女がいるのだから、そのくらいで丁度いいのだろう。
お酒を呑まない。それなら昼間のランチとあまり変わらない。