強引な彼との社内恋愛事情*2

「そしたら年上の男が合うもんじゃないの?甘えたいなら」

「ん?でも、しっかりした男と付き合ったら、甘えなさそうに見えますもん。自分もしっかりしなきゃって、肩に力はいってそう。だから、敢えて年下の男。しかもだらしないとか」


「だらしない男は嫌だけど……」


なるほど、と少し感心した。
これが、前に好きだった上司の田原さんだったら、そんな絵が想像ついてしまうからだ。


広重といれば楽といえば楽だ。
なにかを比べたりする、私がいなければ。あとは、申し分がない程、居心地がいい。


甘えてる、とは言えないけど。


「じゃあ、俺にしますか?」と、谷くんが言った。だらしないっすよーと。


「だから、だらしない男はタイプじゃないの。ていうか、そんなこと言って、彼女に怒られちゃうでしょ?」


「そっか。怒る……怒る、怒るかな?」と呪文のように呟いた頃、餃子が先にテーブルの上にやってきた。
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