強引な彼との社内恋愛事情*2



「聞きました」と、広重に仏頂面で言われたのは、社員旅行の前日の夜だった。


「なにを?」


「この前、谷さんと食事に行ったんでしょ?」


「ああ。ラーメンに行った日?ごめん。言うの忘れてた」


「そうじゃなくて」


「ん?」


「誘われたりしませんでした?」


「はっ?」


「だから、谷さんに誘われたりとか」


なに言ってるんだろうって、可笑しくて笑ってしまった。


あれから谷くんの彼女の話を少し聞いて、また職場の話をして食べ終わったらすぐに解散した。


そんな色気のある展開になんてなることもなかった。


「なにが可笑しいんですか?」


「だって」


「俺、本気で訊いてるんですけど」


「谷くん彼女いるんだよ?私になんか興味あるはずないでしょ?」


「そんなこと関係ない」と言い切られる。


「なんで?」


「だって、現に彼女がいるのに、千花さんをご飯に誘う時点でどうかと思います」


「どうかって?」

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