強引な彼との社内恋愛事情*2

それから、くっついたまま、じっとした。


呼吸が伝わってくる。


私のなにが、伝わってる?


考える。


身体の中にある感情、伝わればいいのに。


口では、うまく言えないから。


伝わればいいのに。


彼にしがみつくみたいに、ギュッと腕に力をいれて抱きしめた。


キス、するのかな、と思ったのに。


私の唇や輪郭を指で優しくなぞったり、くっついては、ギュッとするだけだった。


「千花さんって、本当に特別です」


そんな声がした。


キスをしなくても、心地良い温度が、そこにはあって。


少し、泣きたくなって。


眠るのが、勿体なくて。


単純に。うん。やっぱり、すごく好きだ。
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