死にたがりの私と 生きたがりの君

あまりの衝撃に、
頭が追いつかない。

涙さえ、流れない。




「ずっと…………秘密にしてたんだね」






「──ごめんね」





「────ううん。
気付かなかった私も鈍いっ言うか……
もし私が気付いてたら…………」



いま思えば、勘づくきっかけは
たくさんあった。


ふとしたとき、
河原の向こうを見詰める楓。

その淋しげな瞳の先に
何が映っているのか、
どうして確かめられなかったんだろう。



そしたら…………こんなに…………。




「私はこんなに苦しまなくて
済んだのかな…………」




────私、何言ってんだろ………。

苦しんでるのは、
楓の方なのに……。

< 100 / 207 >

この作品をシェア

pagetop