死にたがりの私と 生きたがりの君
食べれないものが沢山あったこと。

帰るところが家じゃないと
言ったこと。

あの日、ユキと二人きりで
私に話せないことを話していたこと。


今まで"孤児院"と楓が言ったもの
私が思ったものを全部
"病院"に言い換えたら、
全部辻褄が合う。




思い当たる点はいくつもあるのに、
気付けなかった私は、

楓に嘘をつかせた私は、
誰よりも楓を傷つけていた。


「美桜の為だとか言えば綺麗だけど
実際は俺の為でもあったんだ。
──美桜を想う度
自分の首を絞めてるみたいだった……。
俺はそんな苦痛から
解放されたかっただけかも」



淋しげな笑顔が、
曇った夕日に照らされる。




「美桜を好きすぎて
気付いたらエゴばっか考えてた」





───それは、ちがうよ。




「エゴなんかじゃない……………」





──何で、私はここに居るんだか
もう忘れちゃったの?





楓が救ってくれたから。






人なんか嫌いで
そんな自分も大嫌いで
希望なんかない冷たい河から
私を連れ出してくれたのは、誰?




「楓はどんな姿でも楓だよ」





それは、いつだってまっすぐ。




「嘘つきでも、嫌いになんてなれないの」





嘘でさえ私を優しく包み込んだ。
温かく、包み込んだ。


なら………………。






「私は、楓の太陽だよ」





今度は、私の番なの。



「楓に貰った温もりで
私は楓を照らしてあげるよ」




だって、あなたは向日葵だから。
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