死にたがりの私と 生きたがりの君
誓い
美桜side
あれから、二週間が経って
私は毎日楓の病室に通ってる。
学校とひまわり院と病院の往復。
それにもすっかり慣れたし。
楓に会えるなら
全然苦じゃない。
「─えっ!人工透析って週3もあるの?」
「そうだね
前までは終わり次第
美桜に会いに河原に行ってた」
「四時間とか……辛くないの?」
楓はあっけらかんと笑った。
「慣れっこだよー」
"腎不全"
その言葉自体は
聞いたことがあるけれど、
具体的にはどんな病気かわからない。
なので看護士さんにたくさん聞いた。
腎臓の働きが10%以下になると、
血液のろ過が充分に行えなくて、
水分や老廃物のコントロールが
できなくなって、
人工的に血液の浄化を行うのが、
透析療法らしい。
難しい言葉ばかりで
理解出来なかったけれど
中学生の未熟な身体には
ものすごい負担で、
それに耐えられるのが
"半年後までだ"と楓は
言われているらしい。
だけど限界なんて壊してやろうと、
二人で誓った。
「あ、透析……いかなきゃだ」
そう言って楓が起きあがる。
「今から四時間なんて
もう暗くなるから美桜は帰んな?」
「ええっ!やだよ待つ!」
「え───でも危ないし…………」
そう言い合っていると、
いつのまにかユキが
間に仁王立ちして腕を組んでいた。
「大丈夫や、ウチがおるし!」
「いや!ユキちゃんも女の子だろ!」
「なんや、ごちゃごちゃ煩いなぁ
カエちゃんやって
女と対して変わらんやろ??」
「────マジ脱ぐよ??」
そんな他愛もない会話を
繰り広げていると、
病室の入口で今度は看護士さんが
仁王立ちしていた。
「─楓くん?
遅いと思ったらハーレムかしら?」
「わ、芦田さん!!
ごめんなさいごめんなさい!」
慌てて病室を飛び出す楓。
「こら、走らないの!!
──────全く…………」
これには、
看護士さんも呆れ顔だ。
「カエちゃん、自分が病人て
ホンマに知っとんのか?」
ユキも溜め息をついて
笑っている。
「本当にね~」
余命宣告されているなんて
嘘みたいな元気さ。
初めて私が病院に来たのように
呼吸困難になることも
あれ以来はない。
だからずっと……………
ずっとこうならいーのにね?