死にたがりの私と 生きたがりの君
願い
楓side
少し緊張しながら
教室の戸を引く。
すると、退院のことを
知らされていないからか
クラスメイトは皆、
一瞬固まった。
びっくりさせようとして、
わざわざ知らせなかったのだ。
「えっ柏木くん………!?」
「楓!?」
「柏木────!!」
わっと歓声が溢れる。
まだ透析していなかった時は
薬で治療して入退院繰り返していて
まだ少しは学校にも行けていた。
一年ぶりくらいかな。
「なんだよ楓!!治ったのか!?」
「え?や、違う違う。
今回のはテストと言うか………」
集まるクラスメイトに、
俺は今回の退院について話した。
誰もが真剣な眼差しで聴いてくれる。
言い過ぎかもしれないけど、
こんないいクラスが
世界中に二つとあるだろうか。
そう思える位、
俺は皆に感謝してる。
「柏木くん、これを乗り越えたら
本当に退院できるんだ!?」