死にたがりの私と 生きたがりの君
なんとか一日目を終えて、
久しぶりに「ただいま」と言って
家の扉を開く。
すると、お母さんが
玄関まで駆けつけてきた。
「楓!?大丈夫だった!?」
「大丈夫じゃないように見える?」
お母さんはホッと
安泰の溜め息をついた。
「明日は透析ね……大丈夫かしら…」
「大丈夫だよ。
最近は具合悪くならなかったでしょ?
だから先生、外へ出してくれたんだから」
そう笑ってみせる。
心配症の母さんを安心させるものは
俺の笑顔しか無いって知っているから。
「お母さんこれから仕事だろ?
大丈夫だから行ってきなよ」
「で、でも………」
「大丈夫だってばー
なんかあったら連絡するから、ね?」
お母さんなら俺の為に休んだり
もしくは辞めちゃうとか
やりかねないからな。
渋々と仕事に出かけるお母さん。
頭が痛くなるほど沢山の
注意事項を俺に言いつけると、
何度も振り返りながら出ていく。
テーブルの上には、
数少ない俺の食べられるものだけで
工夫して作られた夕飯が置いてある。
携帯を見ると、
翔琉からのLINE。
あと、美桜も。