死にたがりの私と 生きたがりの君
「私なんかむしろお荷物なんでしょ!!」
思わずそう叫ぶと、
唐突に柔らかく抱き締められた。
点滴で繋がれていた針が、
勢いよく抜けて、
その点滴跡で痣だらけの腕が
私を包みこむ。
突然のことで、
息をすることさえ忘れた。
「───死ぬのなんて怖くなかったんだ」
楓は熱い吐息を
切らしたままに呟いた。
「透析なんて最終手段だし
言い方を変えれば延命治療もいいとこだ。だから透析治療初めた日から、
死ぬのなんて覚悟してたよ」
最終手段………なんて………。
「もちろん生きたかったけど、
そのための努力なんか全くしないで
ただ促されるままに治療してた」
「だけど……そんな時
美桜に出逢った」
抱き締められているから、
表情は読めない。
「──あの日、死のうとしてた
美桜を目の当たりにして俺、
"死ぬのなんて怖くない"って
思えなくなった」
「だって、大切な人を亡くすんだ。
俺、あの時からもう美桜が大切だった。
まだ少し、この世界に居たいって
守ってやりたいって思えたんだ」