死にたがりの私と 生きたがりの君
暫くして翔琉くんが
プレートいっぱいに雪を集めて
帰ってきた。
「わぁい!」
「ゆきだ!」
さっそくミニミニゆきだるまを
作り始める由加ちゃんたち。
楓はそれを眺めながら、
満足そうに微笑んでいた。
すっかりお兄さんの顔だ。
「──美桜」
「なぁに?」
「俺、大人になったら
美桜みたいな女の子が欲しい」
「えっ?!」
唐突すぎる楓の発言に、
心臓が跳び跳ねるくらいに戸惑う。
それって……プロポーズ……
私は反射的に
首がとれるくらい強く頷いた。
「頑張って女の子にするよ!!」
「ははっなんだよそれ?
別に俺似の男の子でもいいけど」
「や、やだ!気おくれしちゃう!
楓たちの引き立て役になっちゃう!」
楓みたいな綺麗な人が二人もいたら、
ギラギラして視力落ちそうだよー!
「それ言ったら、俺だって
美桜が二人もいたら心臓持たねーよ!」
「楓が女の子って言ったんじゃん!」
私たちの訳のわからない言い争いに
いつのまにか皆の視線が集中していた。
特にニヤニヤしていたのは
ゆきだるま造りを手伝っていた翔琉くん。
「もう夫婦喧嘩ですかー?」
うぅ……恥ずかしすぎる……。