死にたがりの私と 生きたがりの君
翔琉は飲んでいたコーラを
勢いよく吹き出す。
まるでスプリンクラーみたいな……。
「きたないなぁ」
「いやいやいやッ!だってお前……
け、結婚?!」
「あれ?あんとき翔琉居たよね?
"美桜に似た女の子が欲しい"って言った時」
「え、あれマジだったのか!??」
「────え、冗談だと
思ってたの??」
「あ、いや……お前に限って
それはないと思ってたけど。
そうじゃなくって………」
翔琉は、
なんだか言いづらそうに俯いた。
だいたい想像はつくんだけど
何を言いたいのか。
けど俺は、
翔琉の口から聞きたいと思った。
「お前、身体もつのかよ」
──────そんなに、
そんなに言いづらそうに
しないでくれよ。
「お前は…いつも"生きる"って前向きでさ
俺はお前のそーゆとこ好きだけど。
その代わり教えてくんないじゃん
現実を。
心配かけると思ってるのか?」
────それも……あるけど。
「多分俺が、現実逃避したいんだよ」
そうだと思う。
だって可笑しくなりそうだ。
無理矢理にもポジティブで居ないと。
だけど、翔琉が望むなら
俺は話をするよ。
包み隠さずに話すよ。
「翔琉、俺やばいんだって
相当やばいみたい」
押し込んでたもの。
口に出すと急に現実感を帯びて、
なんかずっしり重くなった気がした。
多分、翔琉がそんな顔するからだ。
「体力的に透析治療続けられんのは
今月中が限界だってさ。
ちょっとわかんないよな?
俺、めちゃくちゃ元気なのに」
「ああ………………………」
「こなたいだなんか子供たちと走り回って
看護師さんに怒られたよ。
体力的ってなんだろ?
なんか全然限界じゃないんだけど」