死にたがりの私と 生きたがりの君



30分くらいボーッとした後、
目を覚ました楓が唐突に
「散歩にいこう」と言い出した。


「え、なんで急に??大丈夫なの?」


「暇なんだもん。それに体調は
むちゃくちゃ良いから」


それならいんだけど…………。




私は楓に腕を引かれるがままに
病院の庭に出た。


広い平らな庭には
何人かの子供達が
軽いキャッチボールをしたり
車イスで散歩をする老夫婦が居たり、
なかなか和やかな雰囲気だ。



そんな庭の桜の木の下のベンチに
楓は「毛虫が落ちてきたらやだな」なんて
心配しながら腰をかけた。



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