死にたがりの私と 生きたがりの君




「楓~?入るよ?」



ノックを、2回。



「ん~…………」



うめき声みたいな、
眠たそうな返事。

もしかして、
起こしちゃったのかなぁ?



「寝てた?」



「………半分。
……いいよ。美桜、こっちきて」



横になったままの楓に
促されるがままに
ベッドの真横に来ると、
楓は唐突に両手を差し出した。



「ん」



と、まるで子供みたいに
主張してくる。



「え、なに?だっこ?」



わりと真面目にそう聞き返すと、
楓の顔はみるみる内に
真っ赤にゆで上がる。




「ちょっと!妙な言い方すんなよっ
俺はただ美桜に
ハグしたかっただけなのに!」




「はいはい」




私達の関係は、
解決したとは言え、複雑だ。


だから楓もこんな風に
弟モードで甘えたいときもあるのかな、
なんて思う。


で、それを受け入れて
抱き上げてあげるのは、
やっぱり私もお姉さんモード
なのかなぁ……?



楓はハグしたかっただけと言ったけど
ふらついてしまう楓の体を支えてるのは
私だから、だっこに近いと思う…。



───なんて言ったら、
怒るんだろうなぁ………。



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