死にたがりの私と 生きたがりの君


私は、楓の手をそっと握った。


「美桜………手冷たい」


もう春だけど、
廊下が寒かったからね。


「ごめんね」


「いいよ。冷たくて
気持ちいい………」


熱を帯びた楓の手は、温かい。
確かにそこに居ることを
証明するみたいに。



だけどもう随分、
痩せこけてしまったね?



出逢った頃とは
大分変わってしまった。





だけどこの気持ちだけは
あの頃のままだよ。








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