死にたがりの私と 生きたがりの君
しばらくして、楓が
軽く噎せ返る。
長話、だったしな。
「大丈夫か?長話しすぎたかもな」
「大丈夫………」
「俺、水かなんか買ってきてやるよ」
「……………ん……ありがと」
今回は奢りでいいだろう。
財布を片手に病室を出た。
楓の咳き込む声が、
廊下まで聞こえた。
病院て、あんま
防音になってないんだなぁ
そんなどうでもいいことを
考えながら一歩踏み出した時。
楓の声が、途絶えた。
妙な嫌な予感が、
背筋を這うように凍らす。
まさか、まさか……………!
無意識に足早になったまま、
来た道を戻りだす。
そして、勢いよくドアノブを捻る。
「楓!!」
床に転がる、
操り糸を失ったマリオネットのように
がくりと項垂れた細い手足。
全身から血の気が引いた。