死にたがりの私と 生きたがりの君
弱々しく落とした言葉が
長い廊下に響いた。
「なにそれ…………すぐじゃん」
時計の針は、午後7時を回った。
楓の生死は、この数時間で決まるの?
明日がやってきたら、
楓はそこに居ないかもしれないって?
そんなの、わかんない。
「わかんないよ……………」
無意識のまま、走り出していた。
何にも考えたくない。
考えても、わかんないし。
死ぬとか、わかんない。
あの日、楓と出会ってから半年。
ずっと積み上げてきたのに
一瞬でなくなるの?
翔琉くんの呼び止める声を
背中に受ける。
パパの「一人にしてやれ」
という声が聞こえた。
私は、無心で屋上に駆け上がった。
この時間では、もう人は居ない。