死にたがりの私と 生きたがりの君
「あ…えと…………もう
どこだかわかんない」
「──え?」
「む、夢中に走ってたから!
だから……………」
つまり私は、迷子だ。
うわぁ……恥ずかしすぎる…………!
「んー、そう離れてなければ
住所で分かるかも。
家の住所教えて?」
「あ、えと……………やっぱ平気だし
一人で帰れるよ?」
"家"なんて無いなんて
なんだか言いづらくて、
無理矢理にはぐらかす。
「何言ってんの?
さっきまで死のうとしてた人を
一人で帰せるわけないだろ」
そうかもしれないけど………でも。
「…私ね、孤児院に居るの…
家なんてなくて……」
……………言ってしまった。