死にたがりの私と 生きたがりの君

「幸せになる近道って知ってる?」


突然にそんな事を口にした楓。


「え……?し、知らない………」





「──それはね、
自分…つまり美桜が居ることで
幸せな人間の隣に居ることなんだ」




「え…………?」






「────つまり、俺のこと」






無垢、そんな言葉がぴったりの笑顔。
その声に、笑顔に、君に、


私は、引き込まれるように
魅せられてしまった。


10月なのに…
頬が熱くて仕方ない。



溶けちゃうよ……………。




「俺でよければ
いつでも話聞いてやれる。
俺、抜け出してる時は
大抵ここに居るからさ」

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