死にたがりの私と 生きたがりの君




「あれ………寝てる…?」



今日、いつものように
河原へ行ったら
11月だと言うのに堂々と
芝生に寝そべっていた。



「無防備すぎる…………」



確かに人通りは少ないけど……
ちょっとは危機感ないのかなぁ。


寒かったのか、自分のコートを
毛布のように被っていた。



「楓、楓ってば風邪引くよ?」



普段はあんまり年齢差は感じないけど、
たまにこうして楓には
お姉さんになることがある。


「ん~………………」


「てゆうか、腕出てるし……
寒くないの?」


コートからはみ出していた
腕をしまおうと、
その華奢な腕を掴んだ。



………………あれ?



その時初めて、
楓の腕が少し痣になって
腫れているのに気付いた。

それどころか、針で刺したような
傷が所々にあった。
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