死にたがりの私と 生きたがりの君
どこまでもポジティヴだなぁ楓は。
芯がしっかりしてるとゆうか……。
いやでも、それって逆になんか
全然具体的な将来の夢じゃないし、
なんかぼんやりした大人になりそうだ。
「もー、そんなんじゃ
ちゃんとした大人になれないよ?」
「ええやだよ、なりたい!」
「そうでしょ?」
「………………大人に、なりたいなぁ」
不意にひとりごとのように呟いた言葉。
透き通るように
蒼く澄んだ楓の瞳は
窓の外の、ずっと遠くを見据えている。
あの時と、同じだ。
自殺を図ろうとした私に、
"俺も同じだ"と言ったあの時。
時折見せるこの淋しげな瞳。
思えばこの時から胸はざわついていた。
だったら、
問い質せばよかったのに。
この時の私は馬鹿で、
愚かで。
だってあれは、
最後のチャンスだったのに。
でも、最後だったなんて
知るよしもなかった。
あれから、
冬休みが始まって
年が開けて
冬休みが終わって
1ヶ月が経った。
楓は、何処へ行ったの……?