死にたがりの私と 生きたがりの君
狂ってしまいそうな程
真っ白な部屋。
漂う薬の匂い。
床にはたくさんのものが
散らばっている。
その中に、私の愛しいものも
床に崩れていた。
苦しそうに唸るだけで、
返事をしない。
「楓くん!!……先生、
反応がありません!」
───じゃあ、楓じゃないんだ。
そっか、あれは楓じゃないんだ。
名前を呼ばれてシカトするなんて
楓はそんなことしないもん。
お医者さんも看護士さんも
いくら名前を読んだって無駄だよ。
だって…………楓じゃないもん……っ
私の知る楓は…………いつも笑顔で
ずっと元気で…………………だから………
床に弾けていたものの中には、
ディスプレイの割れた携帯も
混じっていた。
ああ……………………
いくら逃げても…………
彼は………………
私の大好きな楓なんだ……………。