死にたがりの私と 生きたがりの君
私は、呆然と立ち尽くしたまま。
若い看護士さんが、
私を別室に案内してくれて、
紅茶を出してくれた。
だけど……何も喉を通らなかった。
しばらくして、先生が
もう楓の病室に入ってもいいと
言いに来てくれた。
「本人が疲れないように
手短にね」
そう諭す先生に、
私は尋ねた。
「楓は………病気なんですか?
そんなに酷いんですか?」
何も知らない私に、
先生は少し驚いたようだったけど
すぐに優しく笑った。
「立場上、僕はそれには答えられない。
本人に聞いてみるといい」
本人に………………。
ああ…………そうだ、
私、楓に伝えなくちゃ。
私は、震える手でドアを
ゆっくりと引いた。