雨と僕と私。
梅雨入りが少し嬉しい男の子。
関東は、
明日から梅雨入りになるでしょう。』

あまり集中していないテレビから漏れる声。
梅雨入りと言う言葉が耳に入る。

何気なく窓から外を見る。

『梅雨入りなんて東京に来てからしか
体験してないな。』

空を見上げながら、
そっと独り言を呟いた。

俺は、田中有季❪うき❫。
大学に入る為に
梅雨がない北海道から
上京をしてきた。
現在20歳。
上京してから約2年。
東京の空気に最初は
慣れなくて、
なんて荒んだ街なんだろうって
思ってたのも、
今じゃそんな気持ちも忘れた。

『はぁ。学校めんどくさ。』

ただ流しているだけのテレビでわ、
どうでもいい芸能ニュースが流れている、
リモコンを持ち、テレビを消して、
バックを持ち、玄関のドアを開けた。

『眩し。』

明日から梅雨入りとは思えないほどの、
夏色の天気で、
いつも通りに家を出た。

明日から自分の世界が少し変わるなんて、
なにひとつ考えてもみなかった。
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