雨と僕と私。

日常が変わる前日。

少し高めのヒールは、
朝の通勤ラッシュの足手まといになる。
人をかき分け避けながら、
自分の目的の電車に
八重は乗り込む。

朝の電車内は憂鬱だ。
様々な香りが混じり合う。
普段なら思わない嫌な事すら思う。

『おじさんの香りで吐き気がする。』

そんな最低な事を自分の中で呟いた。
解放されるまであと少し。
あと少し。
あと少し。

『次は新宿に停車致します。』

その瞬間私は解放感に満ち溢れた。

どっと流れる人混みに混じり、
私も改札へと向かう、
駅を出て歩き
無事に会社に着く。
社内の人に挨拶をしながら
自分のディスクに向かう。

いつも通りの日常。
パソコンの音や電話の音、
それも日常の一部になっていた。

そんな時私の元に
上司が現れ私に仕事を伝えてくる。

『前々から話していた新宿に
新しくできるカフェの話をしていたろ？
夕方にそのカフェに行って
内装を撮ってきてほしい、
それが終わったら、直帰していいから。』

私は、はい。と頷き、
内心早めに帰れる事に喜びを浮かべた。

その後は任された仕事を淡々とこなし、
時間は経過。

新宿に新しくできるカフェに向かう事にした。

そのカフェは、
会社から近く徒歩10分ぐらいの場所だった。

工事中のカフェに入り、
言われた通り途中経過の内装を
タブレットで撮り会社へと送信する。

これで私の今日の仕事は終わりだ、
久しぶりに早く終わった。
なにしようかと考えた結果、

『久しぶりにインテリアの勉強でもしよ。』

そうして私は新宿にある本屋に足を向け、
歩き出した。
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