その唇に魔法をかけて、
第七章 花城龍也の登場
「美貴ちゃん。せっかくの中休みに悪いね」
「いいえ。買い物くらいお安い御用ですよ」
中休みに手話の勉強をしようと思っていたが、美貴は料理長から買い出しを頼まれた。仕入れておいたはずの料理酒が発注されておらず、仕込みで手が離せない調理場の従業員に代わって美貴がひとりで街へ出向くことになったのだ。
彩乃も誘っていこうと思ったが、休み時間返上で汗水たらしながら大浴場の掃除をしている姿を見て、それどころではないと遠慮することにした。
「いいえ。買い物くらいお安い御用ですよ」
中休みに手話の勉強をしようと思っていたが、美貴は料理長から買い出しを頼まれた。仕入れておいたはずの料理酒が発注されておらず、仕込みで手が離せない調理場の従業員に代わって美貴がひとりで街へ出向くことになったのだ。
彩乃も誘っていこうと思ったが、休み時間返上で汗水たらしながら大浴場の掃除をしている姿を見て、それどころではないと遠慮することにした。