その唇に魔法をかけて、
最近、自分は美貴のことで脳内を占領されている。彼女を見ていると、時折みせる仕草や光景が、過去の記憶と一瞬重なってドキリとしてしまう。そんな自分にまだ誰も気づいていないと思いたいが、藤堂だけは油断できない。
今日も山積みの仕事と旅館組合の会議が午後からある。
朝の一服を終え、余計なことを考えるのはやめてさっさと仕事に行く支度をしようとテラスから戻った時だった。
珍しく朝からスマホが鳴り、花城が怪訝に思いながらそれを手に取る。着信を見てみると、さらに珍しいことにその番号は花城の実家の番号だった。出ようか出まいか迷ったが、しつこく鳴る着信音に花城は通話ボタンをスクロールした。
「なんだ親父」
『グッモーニンッ! 響也、今朝のご機嫌はいかがかな?』
朝でも深夜でも、どんなに疲れていても常に変わらないテンションを保てる自分の父に、いまさらながら感心してしまう。
今日も山積みの仕事と旅館組合の会議が午後からある。
朝の一服を終え、余計なことを考えるのはやめてさっさと仕事に行く支度をしようとテラスから戻った時だった。
珍しく朝からスマホが鳴り、花城が怪訝に思いながらそれを手に取る。着信を見てみると、さらに珍しいことにその番号は花城の実家の番号だった。出ようか出まいか迷ったが、しつこく鳴る着信音に花城は通話ボタンをスクロールした。
「なんだ親父」
『グッモーニンッ! 響也、今朝のご機嫌はいかがかな?』
朝でも深夜でも、どんなに疲れていても常に変わらないテンションを保てる自分の父に、いまさらながら感心してしまう。