その唇に魔法をかけて、
終章 永遠の魔法
花城の台湾行きの件が今朝の朝礼で従業員全員に発表された。
「――というわけで、息子の響也に代わって私が総支配人として復帰することになったから、またよろしくね!」
驚きを隠せない従業員をよそに、龍也はにこにこ顔で手を振っている。
「びっくりした! 重大発表があるって聞かされてたけど……まさか龍也おじさんが総支配人に復帰するなんて……美貴は知ってた?」
寝耳に水の話に彩乃が目をぱちくりさせている。
「え? ううん。知らなかったよ」
先日、花城からそのことを知ったが、敢えてなにも知らない素振りをした。
彩乃は美貴の気持ちを知っているため、離れていってしまう花城のことを思うと、あまり明るく振舞うこともできず、ただ無言で美貴の背中を優しくさすった。
「響兄ちゃんのことだけど、落ち着いたらきっと帰ってくるよ」
「うん、そうだね」
好きな気持ちをそう簡単に消すことはできない。それを知っていたからこそ彩乃は美貴が心配でならなかった。
「――というわけで、息子の響也に代わって私が総支配人として復帰することになったから、またよろしくね!」
驚きを隠せない従業員をよそに、龍也はにこにこ顔で手を振っている。
「びっくりした! 重大発表があるって聞かされてたけど……まさか龍也おじさんが総支配人に復帰するなんて……美貴は知ってた?」
寝耳に水の話に彩乃が目をぱちくりさせている。
「え? ううん。知らなかったよ」
先日、花城からそのことを知ったが、敢えてなにも知らない素振りをした。
彩乃は美貴の気持ちを知っているため、離れていってしまう花城のことを思うと、あまり明るく振舞うこともできず、ただ無言で美貴の背中を優しくさすった。
「響兄ちゃんのことだけど、落ち着いたらきっと帰ってくるよ」
「うん、そうだね」
好きな気持ちをそう簡単に消すことはできない。それを知っていたからこそ彩乃は美貴が心配でならなかった。