大きな河の流れるまちで〜番外編 虎太郎の逆襲〜
20年前、仲の良い2組の夫婦だった尾崎家と東野家。
リュウパパ(竜也たつや)とナナコママ(奈々)。壮パパ(壮一郎そういちろう)と桜子ママ。
今では僕たちはひとつの家族のように過ごしている。
僕の父は尾崎竜也という救命医で東野記念病院の救急外来で医長をしていたが、去年東野家の長女である内科医の桜子ママが病院を継いで病院長になって、副院長に壮パパ(病院の事務長だった)とリュウが就任した。(病院長だったあやめの祖父は理事長になっている)
この3人は何かと忙しく、(壮パパは土日曜休みが基本だけど、東野家のお付き合いで忙しい)子供の事は俺たちが小さい頃から、ナナコがほとんど引き受けている。東野家にはお手伝いさんが3人と、運転手兼執事みたいな小笠原さんがいるが、東野家の子供達は荷物を置いて、シャワーしてから尾崎の家にやってきて、今日の出来事や、先生からの伝言やプリントをナナコに見せるのだ。ナナコはひとりずつ引き寄せ、ニコニコ話を聞く。そして、毎日欠かさず、5人の子供たちの弁当と、(時折大人の分も作る。)行ってらっしゃいのキスを頬にして(リュウはナナコの唇にけっこう長いキスをする)、ぎゅっとハグしてから、毎日送り出している。(最近僕はかなり恥ずかしいが、ナナコが悲しむと思って、ジッとおとなしく耐えている)
リュウは副院長になってから、月に2回位の当直になって、ほとんど毎晩帰って来るようになった。結婚してから、20年近く経つのにリュウはナナコにあいかわらず、ぞっこんだ。あの人たちを見て、夫婦って、普通にキスするもんだと僕たちは思っていたんだが、中学に入る頃には普通じゃないって事を知って驚いたもんだ。
僕には鷹斗(たかと)という4歳下の弟がいて、あやめには5歳下の柊(ひいらぎ)という弟と更に、ひとつ下の槇(まき)という弟がいる。(鷹斗と柊は同い年で双子みたいに仲が良い。学校も、部活も一緒。馬鹿でかい東野家の車でみんなまとめて学校に行く。)
ナナコは鷹斗を出産してから、持病の喘息を徐々に悪化させ、今は仕事をやめて、家にいる。掃除はお手伝いさんに任せ、料理とリュウの世話担当って感じかな。外出するのはリュウや、桜子さんが一緒のときだけだ。ここ数年は落ち着いてきているが、その前は喘息の発作で入退院を繰り返し、リュウをかなり心配させた。子供達は家に帰ったら、上着や鞄を玄関の隣の部屋に置き、すぐ、シャワーさせてからナナコに会わせるようにしたし、家の中は空気清浄機が何台も置かれ、玄関にはエアカーテンを取り付ける程だった。(愛は盲目?)まあ、その名残でまだ、シャワーしてからナナコいるリビングに入る習慣ができている。おかげで、清潔にする事が苦にならなくなった。
チャイムを鳴らすと、お手伝いの八木さんじゃなく、リュウがドアを開けた。きっと、今日は当直明けだ。リュウはナナコと昼間ゆっくり眠るのに当直明けは八木さんはお休みにしてあるのだ。
「おかえり、チビ虎」と笑う。むう、まだ、リュウの背は越せない(185センチもある)から、甘んじて呼ばせておこう。
「ただいま」と下を向く。
リュウパパ(竜也たつや)とナナコママ(奈々)。壮パパ(壮一郎そういちろう)と桜子ママ。
今では僕たちはひとつの家族のように過ごしている。
僕の父は尾崎竜也という救命医で東野記念病院の救急外来で医長をしていたが、去年東野家の長女である内科医の桜子ママが病院を継いで病院長になって、副院長に壮パパ(病院の事務長だった)とリュウが就任した。(病院長だったあやめの祖父は理事長になっている)
この3人は何かと忙しく、(壮パパは土日曜休みが基本だけど、東野家のお付き合いで忙しい)子供の事は俺たちが小さい頃から、ナナコがほとんど引き受けている。東野家にはお手伝いさんが3人と、運転手兼執事みたいな小笠原さんがいるが、東野家の子供達は荷物を置いて、シャワーしてから尾崎の家にやってきて、今日の出来事や、先生からの伝言やプリントをナナコに見せるのだ。ナナコはひとりずつ引き寄せ、ニコニコ話を聞く。そして、毎日欠かさず、5人の子供たちの弁当と、(時折大人の分も作る。)行ってらっしゃいのキスを頬にして(リュウはナナコの唇にけっこう長いキスをする)、ぎゅっとハグしてから、毎日送り出している。(最近僕はかなり恥ずかしいが、ナナコが悲しむと思って、ジッとおとなしく耐えている)
リュウは副院長になってから、月に2回位の当直になって、ほとんど毎晩帰って来るようになった。結婚してから、20年近く経つのにリュウはナナコにあいかわらず、ぞっこんだ。あの人たちを見て、夫婦って、普通にキスするもんだと僕たちは思っていたんだが、中学に入る頃には普通じゃないって事を知って驚いたもんだ。
僕には鷹斗(たかと)という4歳下の弟がいて、あやめには5歳下の柊(ひいらぎ)という弟と更に、ひとつ下の槇(まき)という弟がいる。(鷹斗と柊は同い年で双子みたいに仲が良い。学校も、部活も一緒。馬鹿でかい東野家の車でみんなまとめて学校に行く。)
ナナコは鷹斗を出産してから、持病の喘息を徐々に悪化させ、今は仕事をやめて、家にいる。掃除はお手伝いさんに任せ、料理とリュウの世話担当って感じかな。外出するのはリュウや、桜子さんが一緒のときだけだ。ここ数年は落ち着いてきているが、その前は喘息の発作で入退院を繰り返し、リュウをかなり心配させた。子供達は家に帰ったら、上着や鞄を玄関の隣の部屋に置き、すぐ、シャワーさせてからナナコに会わせるようにしたし、家の中は空気清浄機が何台も置かれ、玄関にはエアカーテンを取り付ける程だった。(愛は盲目?)まあ、その名残でまだ、シャワーしてからナナコいるリビングに入る習慣ができている。おかげで、清潔にする事が苦にならなくなった。
チャイムを鳴らすと、お手伝いの八木さんじゃなく、リュウがドアを開けた。きっと、今日は当直明けだ。リュウはナナコと昼間ゆっくり眠るのに当直明けは八木さんはお休みにしてあるのだ。
「おかえり、チビ虎」と笑う。むう、まだ、リュウの背は越せない(185センチもある)から、甘んじて呼ばせておこう。
「ただいま」と下を向く。