大きな河の流れるまちで〜番外編 虎太郎の逆襲〜
羽田空港に降り立ったあやめと僕は顔を見合わせる。
東京は雨だ。花火大会はやるのかな?
東野家の小笠原さんが迎えに来てくれている。お帰りなさい。少し、日焼けしましたか?とニッコリする。
「小笠原さん、今日は一日中雨の予報なの?」とあやめが確認する。
「残念ながら。午後にならないと、花火大会を中止するかはわかりませんが、中止になったら、来週の土曜日に延期です。」と言った。
松葉杖の僕に手を貸しながら、車に乗り込ませ、ゆっくりと発進させる。今日の車は馬鹿でかいリムジンじゃないので、小笠原さんと話ができる。
「今日、尾崎の家の八木さんは午後、お休みの予定です。虎太郎さん、夕飯は東野の家で取られますか?」と聞いてくる。夕方から花火大会に出かける予定だったから、夕飯はサッカー部の連中と外でファーストフードの予定だった。だから、八木さんはお休みの予定だったのだ。僕はちょっと考えてから
「デリバリーのピザにするからいいよ。」と笑った。家にナナコがいるとピザも手作りだから、留守の時、ジャンクフードを食べられるチャンスだ。
「あやめも食べる?」と聞いたら、嬉しそうに頷いた。僕は小笠原さんに、
「ウチでピザ取って、あやめと食べる事にする。」と言ったら、小笠原さんは少し笑って、たまにはいいですね。と言った。
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