夏時計


「そう言えば、明日花火大会だよなぁ。」

ポツリと呟いたマーシーに僕は顔を上げた。



「花火?」

「ほら、去年行ったじゃん!隣町の大きな花火大会!忘れたのか?」


その言葉に、「あぁ。」と答えた僕はその花火大会の事を頭に思い浮かべた。

そう言えば、この時期になると隣町では毎年祭りと共に花火大会が開かれる。


それはここら辺では珍しく盛大なお祭で、テレビ局が取材に来たり、わざわざ地方から訪れる人も居るのだと言う。



そうか、もうそんな時期なんだ。

「よし。」


小さく拳を握った僕はチュッパチャップスをガリっと噛み砕いて心に決めた。



「マリちゃん、一緒に行ってくれっかなぁ。」

なんて呟くマーシーをシカトして。




深羽を、花火に誘おう!


そう決意したのだった。


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