夏時計
「あ~ぁ……。」
溜め息と共に出た憂鬱は更に僕を苛立たせた。
そう、僕は
周りを取り巻く全てに苛立ちながらも、結局はいい子ぶって勉強に勤しんで、親の言う事をよく聞く、優等生を演じてた。
実際は、胸につっかえる言葉も吐き出せない、弱虫なのだ。
言い方を変えれば、ただの臆病者。
僕は、所詮ただの『受験生』で、ただ『大人の手前』を生きてる中学生。
そんな中学3年の夏。
いい加減、僕を開放してくれないか。
なーんて、誰に言ったってわかってもらえるはずもない。
ふっと込み上げる笑いを飲み込んで、ポケットから小銭を取り出した僕は
駅のホームにある自動販売機に向かった。
お金を自販機に押し込んで何を買おうか指先を彷徨わせていたそんな時
冷たい風がふわっと僕の頬を撫でた。