怖いオトコとチョコレート

 いない。

 どこにもいない。

 一緒に取っている授業にさえ来なかった。

 どうして?

 私に会いたくないから?

 涙が出る。

 でも、誤解だけは解きたかった。



 もう最後の場所、カフェ『コンフォート』。



 今日、店は珍しく臨時休業。

 テーブル席に、豊川くんがポツンと座っていた。

 ……泣いてる?

「と、豊か……」

 声をかけようとしたその瞬間、後ろから手を引っ張られた。

「今ダメだ」

 びっくりして振り返ると、黒岩くんだった。

 やっと見つけた!
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