怖いオトコとチョコレート
 ね、寝ぼけてるのかな。

 こっちのドキドキなんてお構いなしに、モグモグして、また口をあける。

「ごめん、もうない」

 そう言うと、パチッと目を開けた。

 ちょっと不機嫌そうな顔になって、私をじっと見た。

 目がはなせない。

 またできた。

 眉間のしわ。

「付き合って」

 そう言うと、いきなりガタッと立ち上がり、私の持っていた筆箱の端っこを握って歩き出した。

 はたから見たら、手をつないでいるように見えるんじゃないかと、恥ずかしくなった。

 

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