すべて手の上
なにも心当たりはない。




あるとしたら愛のことだけ。




「ねぇ、藤谷さん、ちょっときて。」




そう言って私の手を掴んだ桃。




桃ってこんなに強かったっけ。




いつも以上に怖く感じる。




着いたのは今は使われていない空き教室。




ガラッ。




入ると同時にほこり臭さが私の呼吸を苦しくさせる。




怖い。




口を開いたのは彩奈。




「藤谷さん、愛のこといじめてたじゃない。私たちの大切な友達をいじめたんだから、自業自得でしょ。」




「え?」




みんな一緒にいじめてたじゃない。









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