君にアイスを買ってあげるよ
「……なんだって言うんですか、沢田さん」
「なんで橋田クンばっかり森田さんは誘うのよ」
やわらかく腕をかけて、揺さぶられるのを止めにする。
「知りません、直接聞いてくださいよ。僕は森田さんじゃありませんからね」
どうして、なんて泣きそうな顔しないで欲しい。僕はライバルなんかじゃないんだから。
「…ついて来ますか?」
ぴくりと腕がふるえる。顔を覗き込んだら、頬に血の気がのぼりピンクに染まっていた。
「橋田クンから誘ったんだからね」
「ハイハイ、いいからそれで」
森田さんの事だから、厄介な事じゃない。ただ予測のつかない人だなと思う。秘密にしたいというより、驚かせたいんだろう。
書類のフォルダーを重ねながら、森田さんは何がしたいのか考えていた。