君にアイスを買ってあげるよ
「ずるい、ごまかして」
「沢田、酔うとこんなに世話がかかるのか」
持てあました森田さんと、視線が合う。
「知りませんよ。森田さんのせいです」
なんだか腹がたってきた。原因は森田さんにある。
「なんで俺のせいにするんだ。橋田が沢田を誘うからだろ」
「森田さんが、はっきりしないから沢田さんだって、一生懸命になるしかないじゃないですか」
ヒールの高い靴で走ったり、けなげにもやしをカゴに入れたり。
「解らないって思ってんの、俺が」
森田さんの声の質が変わる。明らかに怒りが含まれた声音に、冷や汗が浮く。
「沢田、聞いてるか。酔ってるからって忘れるなよ…悪いけど沢田の気持ちに応えることはできない」
ぐすんぐすん泣き始めた沢田さんが、頭を横に振る。
「あたしは…告白すらさせてもらえないの…まったく望みがないの」
「すまない」
心のどこかで
待っていたシーンかもしれないのに。沢田さんが森田さんに振られたら…
なぐさめて
僕のことを見てくれたら
でも
それはなんてズルイんだろう。ただ待って力になる振りして告白なんて。
ダメでも告白したほうが、ずっと良かった。
好きだと口にせずに振られてしまったなら、後悔してしまう。
どんな言葉でも相手を想う気持ちを伝えないと…