明日へのラプソディ
「あっ!甲斐くんっ!」
思わず立ち上がった香山さんの声に意味も分からず何と無く、私も後ろを振り返り扉の方を見た。
「あ…」
入って来たのは、つい先日、思いっきり指を指してしまった『甲斐闘吾』くんだった。この信じ難い嘘みたいな状況に私の思考は完全に、止まった…。
「おう、闘吾。久しぶりだな」
甲斐くんが一歩ずつこちらに向かって歩いて来るのを感じ、私は体勢を戻して、カウンターの方に向き直り、香山さんは流石にお店で大きめの声を出してしまった事に大人としての気が引けたのか、
「…すみません」
と、小声で呟きながらカウンターに向き直り着席した。
「大丈夫だよ、他に誰もいないし」
シュンとした、香山さんにしゅうちゃんが優しく声をかけてくれる。