明日へのラプソディ

…。デビューしてない事の話を甲斐くんにしたような…。あ〜、でも思い出せない。酔うと記憶ってホントに飛んじゃうんだなぁ。支払いしなくてもいい程、いい話って、私は一体何を話したんだろ?っていうか、しゅうちゃんに何話したか、全然思い出せない…。はぁ〜また、頭痛くなってきた。結局、その日の昼休みは、自分の醜態を悔やみながら、そのままデスクに腕を枕に俯せて過ごした。そして、ようやく終業時間がやってきた。

「お先に失礼します」

と、松本さんが、素早く帰って行く。私も帰ろっと。

「私も、お先に失礼します」

と、立ち上がると、

「町田主任、若いもんに示しがつかないから、酒は程々にな」

と、課長から釘を刺されてしまった。

「はい。すみません。以後、気をつけます」

若いもんにって。つまり私はもう若くないって事か。課長に軽く頭を下げて、部屋を出た。

< 137 / 349 >

この作品をシェア

pagetop