明日へのラプソディ
今まで快適に見ていたので、絵の真ん前を陣取って動かないその人が邪魔に思えた。後ろから見るのもなぁ。なんで動かないんだろ、この人。この絵がそんなに好きなのかな?あ、これ、あのゲームのかぁ。ゲーマーなのかな?そうだ、いっそ隣に並んで見ちゃお。いいよね。私は、思い切って、動かない男の人の右側に立って、視界を遮る物のない状態でその絵を見た。それは、ロールプレイングで人気のあったゲームのシリーズの絵で、ドラゴンを従えた主人公たち4人が、山の頂上から、向こうにうっすら浮かぶ魔城らしき建物を見ている後ろ姿が描かれていた。隣の男の人は、私が横に立っても全く動く気配はない。まさか、立ったまま死んでないよね?気になって、チラリと横顔を見上げて見た。