明日へのラプソディ

「…」

うわ〜、瞬きもしてない?怖い怖い。行こ行こ。

「ん?」

行きかけて、まるでコントのような綺麗な二度見をしてしまった。

「甲斐くん?」

私の声が聞こえたのか、彼は一瞬、ビクッと肩を震わせて、ゆっくりこっちを見た。

「あ…」

やっぱり、甲斐くんだった。

「あ、ごめんなさい。声かけてしまって」

私の事、甲斐くんが覚えてるとは限らないって、頭に浮かんで、咄嗟に謝った。

「ごゆっくりどうぞ」

と、言い残し、先に行こうとすると、

「待って」

と、甲斐くんに左の手首を捕まれた。

「えっ」

ガッシリとした手の感触に驚いて立ち止まり甲斐くんを見た。

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