明日へのラプソディ

「…」

甲斐くんと一緒に会場を出ようかとしても、足が動かなかった。なんなの、今の…。

『哉子さん』

…だなんて。『あんた、あんた』って、言ってたくせに…。覚えてたんじゃん、私の名前。Answer5め。
4度目の偶然か…。あるのかなぁ、そんな事。あ〜なんで私、携帯持ってないのよ〜っ。てかいう、番号覚えてないって、不覚…。

「はぁ〜」

大き過ぎるため息をついて、もう一度、4人の絵に向かい合った。

「…」

甲斐くん、頑張ると、いいな。

それから、展示の続きをゆっくり見てから、美術館を後にした。

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