明日へのラプソディ

言っちゃお。

「あの実はさぁ…」

「ん?実はぁ?」

香山さんは、手を止めて、眉毛を段違いにした悪い顔で、こっちを見つめた。

「…あの日、甲斐くんに会ったのよ」

「えーっ!」

おそらく、予想以上の答えだったらしく、香山さんは目を真ん丸にして私を見た。

「本当ですか?」

「うん」

「いつ会ったんですか?イベントの後ですか?」

「ううん、イベントの前だと思う」

「前ぇ?」

「うん。香山さんと別れて、真っ直ぐ帰るのもったいなかったから、美術館に行ったら、いたのよ」

「いたって、甲斐くんが?」

「うん」

「なんで、今まで黙ってたんですかぁ」

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