明日へのラプソディ
「出来てたら、提出してから帰って」
「…出来てません」
「明日課長が会議に持って行かれる資料だから、今日中にって頼んだはずだけど」
「…はい」
「はいじゃなくて。どうする気?」
「…」
松本さんが、チラッと掛け時計に目をやったのがわかった。
「残業したくなかったら、人の手を借りてでも時間内に仕上げなきゃね。時間で雇われてるバイトじゃなくて、松本さんは会社に必要とされて正社員として雇われてるんだから」
「…はい」
シュンと肩を落として、デスクに戻った松本さんが、電源を落としていたパソコンを立ち上げたところで、もう一度声をかけた。
「やりかけのデータ、こっちに送って」