明日へのラプソディ

「業務の一貫と言われるのなら」

「ありがとうっ、助かったよ〜」

課長は立ち上がり、わたしの手を両手でワシワシ掴んで大きく振った。

「いえ…、本当に行くだけですから」

「ああ、わかってる、わかってる。じゃ、宜しく頼むよ」

と、課長は颯爽て会議室を出て行った。

「お見合いかぁ…」

大手企業の会長の息子とお見合いして、結婚したらドバイに行くなんて、絵に描いたような、理想の玉の輿婚よね、本当。真面目に働いてると、凄い話が舞い込んで来る事もあるもんなのね。もうすぐ厄が抜ける前兆かな?………でも、困ったな。さっきから、どうしても、甲斐くんの顔が浮かんでしまう…。凄くいい話なのに、全然嬉しくない。

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