明日へのラプソディ

ラウンジの前まで行くと、私も知っているスーツ姿の阿部商事の方が立っているのがわかって、少し足早に歩み寄りまだ私に気付いていない50代ぐらいのその男性に声を掛けた。

「伊東さん」

「ああ、町田さん」

「お待たせしてすみません」

「いや、まだ専務は来られてないから、大丈夫ですよ」

「ああ、そうなんですね。良かった」

「町田さん、独身だったんだね」

「…はい、恥ずかしながら」

「いやいや、そんな事ないさ。今時、結婚しないキャリアウーマンは多いからね」

「まぁ、そうですね」

やっぱり、結婚してないとキャリアウーマンでもないと、理屈があわないんだよね。

< 254 / 349 >

この作品をシェア

pagetop